PMF Founded by Leonard BernsteinPMF MUSIC PARTNER 2021年2月号 vol. 73
 
新春特別企画 ② 2021年は天才モーツァルト没後230周年 理学博士 和合 治久さんが伝授する!モーツァルト4000Hzの世界〜心も体も明るく元気に〜
写真:「癒しのモーツァルト 自律神経を整える4000Hz」

今月のおすすめ
「癒しのモーツァルト〜自律神経を整える4000Hz」
ユニバーサル ミュージック(UCCS-1194)
¥2,200(税込)

音楽療法と食事療法の研究に全力を注いでいる和合治久さん。その主旋律は「未病を克服して健康寿命を延ばす」というもの。専門は比較免疫生物学と免疫音楽医療学であり、和合先生はモーツァルト・セラピーの嚆矢の存在でもあります。
コロナ禍の今、より多くの人が関心を寄せ、今回の大切なキーワードとなるのが「免疫力」です。新春特別企画の2回目は“体を元気にするモーツァルトの音楽”について教えていただきます。
音楽はエンターテインメントとしてだけでなく、日々の暮らしに取り入れることで、心と体を健やかに導く大きな力になるそうです。音楽ファンの私たちには朗報ですね!

和合先生が解説する「体を元気にするモーツァルトの音楽」

多くの日本人は、不快なストレスに満ち、過密化した都会での生活を余儀なくされています。さらに新型コロナ禍の中では、経済的な苦しみや精神的な不安、悲しみ、感染の恐れなどの感情悪が日々増大しています。また緑あふれる自然環境から遠ざかり、コンクリート化した住環境の中にあって、自然音が乏しく人工音の多い音環境の中で暮らしています。このような環境下での生活の中では、自律神経の中でも心身や脳機能を過剰に活発化させる交感神経がいっそう優位になります。特に、アドレナリンやノルアドレナリンの分泌が多くなり、免疫学的には、体表や粘膜面から分泌される汗や粘液が減少してきます。この例として、乾燥肌やドライアイ、ドライマウス、便秘症などがあります。加えて、ウイルスなどの病原体を攻撃するリンパ球の機能も低下してきます。したがって、結果的に体表や粘膜面での生まれつきもつ自然免疫力と生体内でのリンパ球依存の獲得免疫力は低下してきます。この観点で、人間はウイルスなど粘膜面から粘膜上皮細胞に侵入する病原体に感染しやすくなっていると考えられます。

加えて、交感神経優位の状態で生活していると、血管が収縮して高血圧や冷え性になるばかりでなく、ストレスホルモンのコルチゾールが増加して血糖値が高くなります。また、血流が悪くなる結果、脳梗塞や心筋梗塞などの虚血性疾患にもなりやすくなります。したがって、こうした問題点を克服する上で大切なことは、(1)身を守る免疫力を日頃から低下させないこと、並びに(2)交感神経にブレーキをかける作用をもつ副交感神経を日頃から刺激して自律神経のバランスを整えることです。

そこで、モーツァルトの音楽が、過剰に作動している交感神経を抑えて自律神経を整える作用があるのか否かについて研究してきました。特に、約4000Hzという高い周波数の音を豊富に含み、明るくシンプルな旋律の繰り返しと音のゆらぎが多く、心地よい和音が多用され倍音の多い楽曲を調べました。その結果、音楽聴取によって、1)体表の体温が上昇すること、2)唾液の分泌が高まり、唾液中の免疫物質である抗体IgAが増加すること、3)高い心拍や血圧が低下して安定化すること、4)身体の不調(肩こりや目の疲労など)が改善すること、5)リンパ球の機能が高まること、6)ストレスホルモン(コルチゾール)が減少すること、7)インスリンの分泌が高まること、などが判明しました。

以上の研究結果から、モーツァルトの音楽が副交感神経を刺激して交感神経優位で生じる様々な体の不調を改善すること、人間の低下した粘膜力と免疫力を高めること、そして精神的にもリラックス状態を導く作用をもつことがわかりました。したがって、粘膜面から侵入するウイルスなどの感染症を予防し克服する上でも、副交感神経刺激作用をもつモーツァルトの音楽は手軽に活用できる素晴らしい有効なツールになります。「予防は治療に優る」という諺があるように、体を元気にするモーツァルトの音楽を日々の生活の中で意識的に取り入れてほしいと思います。

和合先生が選ぶ「体を元気にするモーツァルトの音楽」3曲
1 セレナード 第9番 ニ長調 K. 320 第3楽章 交感神経にブレーキをかけ自律神経を整えるため、血流が改善される結果、冷え性や肩こり、むくみなどの体の不調が和らいでいきます。/2 ピアノ協奏曲 第21番 ハ長調 K. 467 第2楽章 約4000Hz の高い周波数の心地よい穏やかなサウンドが副交感神経に作用して血圧や心拍を安定に整えてくれる作用があります。/3 ヴァイオリン協奏曲 第4番 ニ長調 K. 218 第3楽章 唾液など体の粘膜面からでる粘液の分泌力が高まるとともに、免疫細胞のリンパ球の機能もアップするため、外界から侵入する異物を撃退する免疫力が強くなり健康に導かれます。
和合先生が教える「モーツァルト・セラピー」

私がモーツァルトに集中して聴き入る時間帯は、就寝前に目を閉じて枕元で聴き入り快眠を得たい場合と講義等の前に脳を一端休ませて本番で集中力を高める場面になります。お気に入りの飲み物は、ポリフェノールの多いココアと緑茶です。

緊急企画 予防は治療に優る!私たちが今できること免疫力アップに関するQ&A
Tips 2019年2月号あたりから必要に応じて登場。補足説明をしたり、その名前(Tips)のとおりヒントや秘訣、情報を伝えたりしています。今回はミュージック・パートナーの読者を代表して和合先生に質問させていただきます。最初に、先生は何か楽器を演奏されるのでしょうか?/中学校のブラスバンド部ではクラリネットを担当しており、今もクラリネットとハーモニカを演奏します。いつもバッグにハーモニカを入れて出張に。講演会の最後には、私のハーモニカ演奏で会場の皆様に歌を唄っていただいております。世界中どこでも持っていけますので、ありがたい楽器です。
Q

和合先生、そもそもウイルスとはどんなものなのですか?

A

ウイルスは光学顕微鏡では観察できない最小限の微生物です。生きた細胞内に寄生し、宿主の代謝系を利用して増殖するので、人工培養では育ちません。細菌と異なり、ウイルスは抗生物質には感受性がなく、効果がないのが特徴です。

Q

ウイルスと細菌は別モノなのですね。新型コロナウイルスの場合、うがい手洗い・マスクの着用・三密を避ける…こうした行動と習慣が「第一段階の感染防御策」となりますが、私たちが今できる“追加の防御策”はありますか?

A

侵入するウイルスが自己粘膜細胞のACE2感染受容体に付着・結合する前に抑制する食品の摂取ですね。みそ汁やカテキン類を多く含む渋い緑茶、納豆などは「第二段階の感染防御策」として意味があります。またウイルス遺伝子の複製を抑える作用をもつ亜鉛含有食材(牡蠣など)や玉ネギも大いに摂ってほしいです。

Q

今回、交感神経が優位になると皮膚や粘膜が乾燥すると教えていただきました。“免疫細胞を活性化する”とともに、“粘膜の乾燥を防ぐ”ための具体的な対策も知りたいです!

A

「免疫細胞を活性化する方法」としては、音楽に聴き入ること、熱くないお風呂にゆったりとつかる、アロマでリラックス、30分以上日光浴してビタミンDを生み出してほしい、そして7時間以上の睡眠をとることです。モーツァルトの楽曲を聴くと唾液がよく分泌されます。唾液中のムチンに結合したシアル酸はウイルスをトラップする働きがあるんですよ。

「免疫細胞を活性化する食材」としては、乳酸菌食品・バナナ・海藻類・キノコ類・ポリフェノールを多く含む緑茶やシソ・玉ネギなどの淡色野菜・みそ・有機野菜・レンコンなどが有効です。

「粘膜の乾燥を防ぐ方法」としては、ネバネバ成分が含まれる食材を摂取することです。交感神経が優位な状況では、皮膚や消化管の粘膜面がカサカサに乾燥してきます。特に呼吸器への感染を引き起こす新型コロナウイルスは呼吸器粘膜の上皮細胞から体内に侵入するため、乾燥粘膜はとても危険です。

そこで、ネバネバ成分を含むレンコン・長芋・オクラ・モロヘイヤ・アシタバ・納豆などの食材を積極的に摂り、乾燥した粘膜面にバリヤーを構築させてウイルスの侵入を防ぎましょう。

「予防は治療に優る」を大切に、ミュージック・パートナー読者の皆様どうぞ健康に過ごしていただきたいと思います。

まとめ

① ウイルスと細菌は違う

(抗生物質はウイルスには効かない)

② 新型コロナウイルスの「第二段階の感染防御策」

(みそ汁、渋い緑茶、納豆、玉ネギ、亜鉛含有食材の摂取)

③ 免疫細胞を活性化する方法の実践

(熱くないお風呂、アロマ、30分以上の日光浴、7時間以上の睡眠)

④ 免疫細胞を活性化する食材の摂取

(乳酸菌食品、バナナ、海藻類、キノコ類、ポリフェノールを多く含む食材)

⑤ 全身の粘膜の乾燥を防ぐ

(ネバネバ成分を含む食材の摂取で、粘膜面にバリヤーを構築)

上記③④⑤の“大切な土台”となるのが、副交感神経を刺激して自律神経を整える効果のあるモーツァルト・セラピー(4000Hzの周波数を含む楽曲に聴き入ること)です。

モーツァルトの音楽しかり、和合先生が発する言葉そのものに癒しとパワーがありました。2回にわたり教えていただいたことは、今の生活の中で実践できることばかりです。しかし、それらは長年の臨床と研究の結果に支えられた専門家の知見だからこそ、新型コロナウイルスの感染予防に限らず、私たちが心も体も明るく元気に生きるための大きなヒントになります。音楽療法と食事療法を意識することで日々の暮らしも楽しくなりますね。和合先生、本当にありがとうございました!

Profile 和合 治久(わごう はるひさ)

1950年長野県生まれ。東京農工大学大学院修了後、京都大学にて理学博士取得。元埼玉医科大学・同大学院教授・初代学科長を歴任。現在、埼玉医科大学短期大学名誉教授。東京都立大学および新渡戸文化短期大学などで講師を兼務。「21世紀の音楽療法を考える」「音楽療法元年」「心と体が安まる周波数 528Hz CDブック」「最恐ストレスからあなたの自律神経を守り抜くCDブック」「粘膜力でぜんぶよくなる」「免疫力を高めるアマデウスの魔法の音」「認知症にならないためのCDブック」などの著書多数。「心と体を整える愛の周波数528」「癒しのモーツァルト・シリーズ」など監修CD多数。国際個別化医療学会顧問、日本臨床音楽研究会理事、日本作家クラブ名誉理事、公益社団法人「虹の会」理事、USEN放送番組審議会委員、一般財団法人「Universe Health & Happiness 大学院」理事、朝日のぼる文化村村長、一般社団法人「We love 信州の会」理事などを務める。専門は比較免疫生物学、免疫音楽医療学で、 人間を含めた動物の健康維持機構を研究している。文部大臣賞、日本応用動物昆虫学会賞、日本臨床検査学教育学会永年精励賞、日本レコード大賞企画賞(監修CD)などを受賞。テレビ・ラジオ・医学雑誌等および音楽療法コンサート開催等で治未病活動を展開している。

和合治久 公式サイト
モーツァルトの音楽が持つ力を日常に。和合先生が監修するアルバム
今月のおすすめ「癒しのモーツァルト〜自律神経を整える4000Hz」ユニバーサル ミュージック(UCCS-1194)¥2,200(税込)
Tips はっ、8000Hzって…どんな音なんですか?それは“魔法の音”ですよ(和合先生)。そもそも日本語と英語は言語のもつパスバンド周波数が違うとのこと。モーツァルトの音楽で自律神経を整えながら、英語の音をキャッチする耳も育てませんか??

ニュー・ノーマル時代の音楽は「聴く」から「効く」へ

ユニバーサル ミュージック Haruhisa Wago Classic 音の診療所〜心と体の癒しのために
和合先生プロデュース!喜びまく音楽セラピーコンサート2021 in 松本〜心と体を整える〜 予定(新型コロナの収束状況によります。) 日時 10月16日(土)または23日(土)で調整中 会場 松本市四賀支所 ピナスホール(松本市会田1001-1) 料金 全席自由席 3,000円
 
PMF Connects LIVE! コンサート情報/入場無料 要申込/毎回ご好評いただいているコネクツLIVEシリーズ。多くの方のご理解・ご協力のおかげで13回目のコンサート開催を予定しています。春を感じる3月最後の週末、PMF修了生による美しい弦楽四重奏をどうぞお楽しみください!/受付開始 3月8日(月)13:00〜 お申込みは公式ウェブサイトで! ※今後の状況次第では変更になる場合があります。あらかじめご了承ください。/PMF Connects LIVE! クリエイティブスタジオ 日時 3月27日(土)19:00 開演 会場 クリエイティブスタジオ(札幌市民交流プラザ3階)札幌市中央区北1条西1丁目
コンサートスケジュール
 

PMF2021 開催に向けた今後のスケジュール

現在、新型コロナウイルスの感染状況等を見ながら、皆様の応援を力にPMF2021の開催準備を進めております。開催期間を含めた詳しい情報は3月末頃の発表を予定していますが、現時点で想定しているPMFフレンズ(賛助会員)やチケット販売に関する大まかなスケジュールをお伝えします。
これまでとは大幅な変更となりますが、ご理解・ご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

3月末頃 PMF2021開催概要の発表 公式ウェブサイトやSNS、ミュージック・パートナー(3月号)でお知らせします。 Tips Tシャツの新作デザインも発表する予定です。/4月上旬 PMFフレンズ(賛助会員)及びPMFオフィシャル・サポート(個人寄付)の募集 フレンズ会員の皆様には3月末〜4月初めにDMでご案内します。/5月30日(日)予定 PMFフレンズのチケット会員先行販売/6月5日(土)予定 チケット一般発売
 

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イラスト:手紙とコーヒー
 
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