PMF Founded by Leonard Bernstein 30th AnniversaryPMF MUSIC PARTNER 2019年8月号 vol. 58
 
30回記念のPMF2019をご支援いただきありがとうございました!
PMF/SAPPORO

1990年にレナード・バーンスタインが札幌で創設した国際教育音楽祭PMFは今シーズンが30回目のアニバーサリーでした。

多くの個人・企業・行政による、あたたかいご支援のおかげで今年も音楽祭を開催し、去る8月2日のPMFオーケストラ川崎公演をもちまして全日程を無事終了することができました。様々なかたちでPMF2019をご支援いただきました皆様に心から御礼を申し上げます。

音楽祭の主役であるPMFオーケストラは毎年オーディションに合格したアカデミー生たちで結成するため、二度と同じオーケストラと演奏は存在しません。目の前に、ひとつしかないものがあれば、それを大切にしようという気持ちが自然と湧き上がるものです。

30回という節目だからこそ、演奏者と聴衆はコンサートを通じてPMFの成果と展望を共有することができ、例年以上にファンの皆様と信頼関係のようなものを築けたのではないかと感じております。

次回のPMF2020では、芸術監督ワレリー・ゲルギエフが自身の“ラストシーズン”にPMF史上初となるグランド・オペラの上演に挑みます。

モーツァルトのオペラ『ドン・ジョヴァンニ』、楽聖ベートーヴェンの生誕250周年、そして、東京オリンピック開幕と、きっと来夏も夢と活気あふれるシーズンになることでしょう!

皆様、これからもPMFをどうぞよろしくお願いいたします。

公益財団法人パシフィック・ミュージック・フェスティバル組織委員会

30th Anniversary 2019.7.6 - 8.2
 
アカデミー生と修了生はPMFの宝物!PMF2019 アカデミー生インタビュー
写真:大光 嘉理人さん

大光 嘉理人さん

日本

Karito Ohmitsu

楽器:ヴァイオリン 所属:東京藝術大学

PMF

過去と未来をつなぐ30回記念のPMFに参加した感想をお聞かせください。

今年で30回を数える歴史ある音楽祭に参加できたこと、本当に光栄に思います。現在まで受け継がれてきた様々な人たちの想いを感じることができた1ヵ月でした。たくさんの皆様に支えられて実現することができている、この素晴らしい音楽祭が今後さらに発展していくことを祈っていますし、自分自身いつかPMFをサポートできる音楽家になりたいです。

大光 嘉理人さん
PMF

札幌の滞在で印象に残っていることは。

札幌は初めて訪れましたが、その街並みは想像していたよりも先進的で、お洒落なお店がたくさん立ち並んでいたのが印象的でした。もちろん食事も美味しく、新鮮な魚介類からジンギスカン、スープカレーまで様々な食事を先生方やアカデミー生の仲間たちとともに楽しむことができ、素晴らしいひと時を過ごしました。噂に聞いていた“〆パフェ”の文化も初体験しました。
市営地下鉄の改札機に自分の写真とプロフィールが印刷されたステッカーが貼られているのを見て、とても驚きましたし、とても嬉しく思いました。街をあげて皆さんが応援してくださっているのが、よく分かり、感激しました。

大光 嘉理人さん
PMF

将来どんな音楽家になりたいですか。

よく音楽は国境を越えると言いますが、それは本当にそのとおりで、さらに言えば今回、音楽を奏でようとしたその瞬間から、その会場にいる人たちは、演奏者も聴衆も、異世界へと移動してしまうような感覚を覚えました。特にマエストロ・ゲルギエフの指揮による公演は一瞬でも気を抜けばエネルギーの渦に呑み込まれてしまうような、命がけで冒険をしているような緊張感の中にありました。しかし、それと同時にその心地よさをも感じていました。
様々な国から集まったレベルの高い仲間たち。音楽的な趣味がまったく同じわけではなく、当然のごとく年齢も性別も考え方も文化も宗教も異なる彼ら。
それでも、その音楽に誠意をもって向き合った時、我々はその圧倒的世界観を前に、たった一人の人間として平等であったように思います。人の力ではなんとも操作できない大自然の力を目の当たりにした時のような感覚でした。これは人間同士が争っている場合ではないなと。音楽は国境を越えるとは本来そう言った意味ではないかもしれませんが、私は、一人の音楽家としてそのような、すべてのボーダーを越えたような瞬間に立ち会うことができました。そんな瞬間を再びお客様にお届けできるよう、また世界中の様々な価値観を持つプレイヤーと世界の舞台で共演できる音楽家になれるよう、頑張っていきたいと思います。

大光 嘉理人さん
PMF2019 アカデミー
 
PMF30回記念 特別連載企画/あの人が語る 音楽のある生活 音楽のある人生/私のミュージックライフ 今回のゲスト 宝槻 泰伸さん(塾代表)

3月号からスタートした「私のミュージック・ライフ」も今回が最終回。本連載のフィナーレを飾る6人目のゲストは、20年以上も人気を誇る、あの人間密着ドキュメンタリー番組『情熱大陸』に出演以来、教育界で大注目となっている塾「探究学舎」の代表をつとめる宝槻泰伸さん。
東京三鷹市にある「探究学舎」は成績アップや受験合格にコミットしない変わった塾。『生命進化編』や『人体医療編』、『元素編』や『宇宙編』、『戦国英雄編』や『ことば編』など、自然の神秘や人類の英知を紐解く様々なテーマを扱いながら、人類が過去連綿と繋いできた「知のバトン」を、現代を生きる子どもたちに手渡すべく、小学校1年生から楽しめる授業を行なっています。
9月から始まる新授業はクラシック音楽を学ぶ『音楽編』。このオリジナル授業は指揮者で作曲家の根本卓也氏が監修し、何と授業のために交響曲『探究者』も作曲しました。
大人ですが、8月14日に札幌市内のホールで開催された『音楽編・ダイジェスト』の授業に出席。面白過ぎて90分はあっという間で、やっちゃん(宝槻さんの講師名)の呼びかけに毎度『ハーイ』と声を出して大きく手を挙げる始末。小澤征爾氏から学び、オペラでも活躍する根本さん作曲のシンフォニーも本当に素晴らしいものでした。「探究学舎」は評判どおりの“好奇心に火をつける塾”です!

Q1

どんな時に音楽を聴きますか。

最近では、音楽を鑑賞的な態度で聴くということは少なくなりましたが、日常的には、リラックスしているときなど、BGMとして聴くことが多いです。探究学舎の授業として『音楽編』を制作し始めてからは、自分が今まで聴いたことのなかった音楽も聴き始めました。『音楽編』の制作に携わってくれている指揮者で作曲家の根本卓也氏から『これを聴いておくように』とアドバイスされたものを、とにかく片っ端からすべて聴いていきました。そうすると、自分から好んでは聴いてこなかったような音楽の中からも、美しさが得られるという発見がありました。

Q2

いちばん好きなクラシック音楽を教えてください。

僕がいちばん好きなのは、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番です。純粋にすごく感動します。メロディが美しいこと、そして、ピアノとオーケストラの対話が素晴らしく、いちばん最後のクライマックスの情熱的な終わり方には、何度聴いても心が動かされます。特に、イギリスで開催された有名なコンサートに、辻井伸行さんがラフマニノフの2番を提げて参加し、見事評価を勝ち取った際の演奏は、彼が世界的に認められた最初の演奏ということもあり、感動もひとしおです。何度も繰り返し聴いています。魂のこもった演奏だと思います。

Q3

これまでの人生で音楽に助けられた経験、
もしくは音楽があって本当に良かったと思った瞬間は。

自分が何かに感動している時、常にそこに音楽の力があったと思います。例えば、僕は『セント・オブ・ウーマン』という映画が大好きなのですが、最後、主人公の演説のシーンで、主人公の勝利が決まった瞬間、講堂に集まった若者たちの叫びとともに音楽が始まります。ストーリーのクライマックスに、心を揺さぶる音楽が重なり、さらなる感動が生まれます。映画やミュージカル、テレビ番組など、心が揺り動かされる大きな場面には必ずと言っていいほど音楽があります。現在、子どもたちに「知識」ではなく「驚きと感動」を分かち合う授業をしていますが、自分が人々に感動を届けようという立場になり、自分自身が音楽の力を大いに借りています。音楽はやはり人を感動させる力があるということを、音楽の受け手としても、教育の担い手としても、両方の立場から実感しています。そして、そのように心が動かされる音楽とは、得てしてオーケストラの演奏なのだと思っています。デジタル音には生み出せない力強さがあるように思います。

Q4

30回記念の国際教育音楽祭PMFに
メッセージをお願いします。

こういった活動があることは知りませんでした。世界中の若者が音楽の系譜を継承する場として、クラシック音楽の発祥の地のヨーロッパだけではなく、日本として貢献できているという事実にとても嬉しく思いました。
今回、川崎公演を聴かせていただきましたが、まず、指揮者のゲルギエフ氏の力強く、信頼感に満ちた指揮にも感動しましたし、通常のオーケストラ公演ではあまり感じることのない、コンサートホールに来場している観客を含めて、大きなあたたかい家族のような一体感を感じました。世界の様々な国と地域から選抜されて集まり、一流の演奏家のもとでともに学ぶという一夏が、演奏家としてだけではなく、個々の人間としての成長、そして共生する人類としての進歩に、多大な貢献をしているのだろうと感じられました。
個人的には、古典派のようなわかりやすい旋律、わかりやすい構成の音楽が好きなので、今回の演目にあった現代的にアレンジされたショスタコーヴィチではない曲も、PMFオーケストラがどのように演じられるのか、ぜひ聴いてみたいと思いました。
僕自身は、子どもたちに伝えるという立場から、PMFが行っている小学生を対象にした音楽ワークショップなど、ぜひ見に行ってみたいと思っていますし、PMFだからこそ届けられる価値を、北海道にとどまらず、日本全国の子どもたちに届けていただけたら、と思います。
PMF修了生の輪が広がり、音楽の世界がより豊かに拡がっていくよう、関係者の皆様の今後益々の発展をお祈りしています。

宝槻 泰伸(ほうつき・やすのぶ)/1981年東京都三鷹市生まれ。京都大学経済学部卒業。探究学舎代表。幼少期から『探究心に火がつけば子どもは自ら学び始める』がモットーの型破りなオヤジの教育を受ける。高校を中退し京大に進学。次男、三男も続き、リアルオヤジギャグ「京大三兄弟」となる。開発期間5年、子どもたちが『わあ!すごい!』と驚き感動する世界にたった1つの授業を求めて、北海道から沖縄まで、時にアメリカ・ヨーロッパ・アジアからも親子が集まる。2017年は延べ約2,000人、2018年は年間約3,000人が参加。5児の父。
探求学舎
 

バックナンバーのご案内
〜ゲルギエフと“ラストシーズン”を走ります!〜

公式ウェブサイトにバックナンバー(2019年1月号から4月号まで)を公開しました。
PMF MUSIC PARTNERは年間を通じた情報発信を目的に、現芸術監督ワレリー・ゲルギエフ就任のシーズンからスタート。
ご存知のとおり、試行錯誤で企画・制作している“メルマガ”ですが、早いもので今秋から6シーズン目に突入します。
読者の皆様におかれましては、お付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。

写真:PMF MUSIC PARTNERのバックナンバー(2019年1月号から4月号まで)

※「私のミュージック・ライフ」は月刊メール限定の連載企画につき本編は非公開となります。あらかじめご了承ください。

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