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季節は夏から秋に移り、もうすぐPMF2018の終了から3ヵ月。アカデミー生たちの表情や会場の空気感など一瞬一瞬を捉えた写真でフォトギャラリーを作りました。
約600枚を収めたギャラリーは、この夏、PMFで確かに音楽が生まれ、多くの人と感動を分かちあった大切な証しです。そこに“画廊”を訪れる人の思い出や想像力がプラスされると、写真はさらなる輝きを得て“作品”になります。映像や音源とは一味違う写真の世界をお楽しみください!
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生誕100年を祝う特別企画として2017年10月号から連載がスタートした「バーンスタイン音楽の旅」。PMF2018の期間中には3人の執筆陣が札幌に集結し、オール・バーンスタイン・プログラムのPMFオーケストラ演奏会を鑑賞しました。終演後は丸美珈琲でPMFブレンドを飲みながら、大好きなバーンスタインについて熱く語りあうことに。3回シリーズでトークの様子と公演評をお届けします。
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バーンスタインはどんな人だったと思いますか?
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丸美珈琲店プロデュースのPMFブレンドと焼きたてワッフルが来ました。
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華やかな香り、しっとりとしたコク。PMFオーケストラをイメージした調和のとれた味わいが心地よく広がるブレンドに仕上げました。7月限定のパイナップルのワッフルもどうぞ。
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(PMFブレンドを飲んで一斉に)うわーっ、美味しい!
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昨秋から「音楽の旅」を担当し、また、今日の演奏を聴いて、バーンスタインのことを改めてどんな人だと思いましたか?
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20世紀の巨人ですよね、あの知性は。哲学や文学、すべてのアートを網羅している人。今日の3曲を聴いて、本当に頭のいい人、知的な人なんだと圧倒されました。バーンスタインはフレンドリーな印象がありますが、内面は知性の塊ですね。「ファンシー・フリー」だって意味(気楽な、悩みがない)から想像するくだけたイメージとは違い、音楽的には難しい曲です。オーケストラは大変だったと思いますよ。
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バーンスタインは寂しがり屋です(笑)。一人でいることが嫌いな人。天才だったけれど、本当は作曲には性格的に向いてなかったのかなとも思います。作曲家というのは一人で閉じこもって煮詰めて煮詰めて、それに耐えられる人がやる職業なんですよ、きっと。才能があるのに、目指していたベートーヴェンやマーラーのような交響曲を書けなかったのは、寂しがり屋だったからかもしれません。一方、人と音楽をシェアする指揮者としては誰も持っていないオーラがありました。
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それが彼の音楽性につながってますよね。交響曲が3曲あるけれど、純粋なシンフォニーはひとつもない。「エレミア」は歌が入るし、「不安の時代」ならピアニストと共演、「カディッシュ」なら語り、合唱、児童合唱、ソプラノが入る。作曲しているとき、誰かと何かをやることを想定して曲を書いてますよね。
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そうそう。だから彼のミュージカルは素晴らしいんですよ!コラボレーションだから。「ウエストサイド」の制作現場は若い才能たちの合宿さながらで、振付のジェローム・ロビンスが『こんなのダメ』ってきついこと言っても、バーンスタインは文句も言わず何度も曲を書き直したそうです。
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晩年のバーンスタインを留学中のウィーンで見る機会が多かったのですが、例えば、楽友協会での午前中のウィーン・フィルのリハーサル。楽団員との握手やハグ、世間話で忙しくて、マエストロが『さあ、始めようか』と言って音が出たのが、お昼前だったということがありました(笑)。リハーサルを見に来る学生の数が少ないと客席を振り返って『あー、今日はこれしかいないのか』と機嫌が悪かった。
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それ、カラヤンだったらなさそう(笑)。なるほど、そんなにウォーミングアップしたら、本番の音、絶対に違いますよね。
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人との密な接点が、バーンスタインの指揮と作曲の原動力だったと思います。
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PMFオーケストラ演奏会 プログラムB
バーンスタイン:交響曲 第2番 「不安の時代」
五嶋みどりの「セレナード」(内に外に烈しい名演奏だった)を目的にKitaraに集った満場の聴き手も、エドウィン・アウトウォーター指揮のPMFオーケストラ、アメリカの若手ピアニストのアンドリュー・タイソンが奏でたスタイリッシュな「不安の時代」に聴き入ったのではないか。
とくに、俺が俺がと熱く主情を掲げることなく、抒情や祈りの情趣に寄り添ったタイソンのピアノに。この人、国際コンクールやオーディション出場時代から、喝采を博しやすい「競技的な打鍵」とは距離を置き、相当妖しいリズム感を披露。あるいは魔境を匂わせる音色を紡いできたが、そんな独自の感性がいよいよ華開いてきたようである。
もちろん、今どきの若手アーティストだ。基本的なメカニック、音楽を彫琢するテクニックは鮮やかで、ジャジーな楽想もしなやかにこなすが、この人は声高に叫ばない。直截的に突き進むことなく、音楽が微妙に揺れるのだ。そんな語り口が、札幌コンサートホールの芳醇な音響に溶け合い過ぎたきらいもあったとは言え、音色の変幻に「こだわり」をもつタイソンの起用は成功だったのではないか。
かつてバーンスタインから教えを受けた40歳代後半のマエストロ、エドウィン・アウトウォーターは古典からコンテンポラリーまで自在にこなす才人だ。今回も腕自慢のPMFオーケストラと交歓。彼・彼女たちを鼓舞し音響を整えたが、管楽器の首席を任された教授陣──PMFアメリカとのコンタクトを含めて、さらに踏み込んで欲しい場面があったことは告白しておく。
精妙な楽想を実直に紡ぐ、という姿勢自体は素敵なのだが、若手の指導に長けたアウトウォーターならば、流儀の異なる若者によって構成されたPMFオーケストラを、さらなる高みに導くことが出来たのでは。変奏の味わいや、第2部を彩る「挽歌」「仮面舞踏会」「エピローグ」の性格をもう少し際立たせて欲しかった。これは高水準の演奏ゆえの欲である。
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10月7日・8日、ヴェルディのオペラ「アイーダ」の大成功とともにオープンした札幌文化芸術劇場 hitaru。札幌のアートと知の新拠点「札幌市民交流プラザ」に誕生した、北海道初の多面舞台と3層バルコニー形式2,302席を備えた劇場です。こけら落とし公演では、その素晴らしい音響も大変評判になりました。
チケット完売のオペラ(アイーダ)とバレエ(白鳥の湖)に続くオープニングシリーズ主催事業は、ユジャ・ワンのピアノリサイタル!今や押しも押されもせぬ世界のピアニストとなった彼女はhitaruのピアノ選定者。また、PMF芸術監督のゲルギエフとは海外と日本で共演している圧倒的な実力の持ち主です。驚天動地のピアニストの初上陸公演を新劇場で堪能しませんか。
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【公演情報】 ユジャ・ワン ピアノリサイタル
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バックナンバーのご案内
〜もうすぐ50号。今月で創刊から4年を迎えました!〜
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今月号で創刊4年を迎えたPMF MUSIC PARTNER(月刊メール)。このたび公式ウェブサイトにバックナンバー(2018年5月号から8月号まで)をアップしました。
“ミュージック・パートナー”は2014年11月に創刊したPMFの情報の定期便。画像主体のHTMLメールという特長をいかしながら、これからもビジュアルと文章で音楽祭の魅力をわかりやすく伝えていきます。
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