今年は世界22ヵ国・地域出身の若手音楽家102人がPMFで学び、その成果を数々のコンサートで披露します。
PMFオーケストラは、バーンスタインの夢と情熱を体現し、バーンスタインが理想とする世界の縮図。若さとエネルギーあふれるアカデミー生たちが、目標に向かって切磋琢磨する“PMFの舞台”をどうぞお楽しみに！

「レニーに贈ることば」大募集！

1990年、私たちにPMFという素晴らしい贈り物を届けて旅立ったレニー。今、レニーが生きていたら、伝えたいメッセージはありますか？
PMF組織委員会では「レニーに贈ることば」を大募集！受付期間は2018年7月13日（金）まで。
お寄せいただいたコメントは7月22日（日）に開催する「録音とエピソードでたどるバーンスタインの生涯」などで紹介します。“ことばの贈り物”、お待ちしています！

昨年「PMF BOOK」としてイメージを一新した公式プログラム。PMF2018の開幕とともに、シリーズ第2弾が発売となります！
今回はバーンスタインを感じる“特別な年の特別な一冊”に仕上がりました。7月7日（土）からコンサート会場とKitaraチケットセンターでお買い求めいただけます。数には限りがあります。ご購入はお早めに！

大好評！ PMF2018 オリジナルTシャツ

“オープニングの日からTシャツを着て会場に”をコンセプトに、6月から販売をスタートしたオリジナルTシャツ。大好評につき、PMF組織委員会の直販分（通販＆窓口）のご用意が少なくなりました。
今シーズンは昨年より300枚も多い2,000枚を製作。コンサート会場（札幌芸術の森、札幌コンサートホール）とKitaraチケットセンターの在庫がなくなり次第、販売終了となります。あらかじめご了承ください。

根強いファンが多いPMFのオープンリハーサル。今年もオーケストラ・アカデミーとヴォーカル・アカデミーの指導風景を公開します。また、今年から新企画として、地元の音楽学生を対象にPMF教授陣が楽器別で行うマスタークラスが開講！
ビジネスや生き方などに活かそうと、巷ではハーバードやスタンフォードをはじめとする世界の一流大学の授業が書籍や動画で大人気。PMFのオープンリハーサルと公開マスタークラスは、そのクラシック音楽版とも言える“夢のレッスン”です。
国際教育音楽祭PMFが公開する“世界一流の音作りの現場”を楽器演奏の刺激として、音楽鑑賞のヒントとして活用してみませんか？

1988年11月、バーンスタインは古巣ニューヨーク・フィルとともにチャイコフスキーの『交響曲第5番』をレコーディングする。ウィーン・フィルとマーラー『交響曲第6番』をライブ録音した二か月後である。音楽史に残る名録音だが、改めて聴き返してみると、数あるチャイコフスキー5番の録音の中でも格段にテンポが遅く、荘重でシリアスな雰囲気で始まっている。サウンドそのものも、無駄なリバーヴを排した非常にドライな質感のもので、ここにはバーンスタインの明確な意図があったように思う。オーディオ技術の進化とともにデラックスで華やかな録音を多く残したカラヤンと対照的に、このバーンスタイン最後期の録音は、とても「乾いて」いる。同時代を生きた二人の天才は人柄に関しても対照的なエピソードを持つが、晩年のバーンスタインはカラヤンのモダン志向に対して、古典回帰的なサウンド志向を持っていたのではないか。師匠であったミトロプーロスの古い録音（それは決して音質のよいものではないが）も彷彿させる。
2楽章のアンダンテ・カンタービレは人生のパノラマを振り返るような郷愁に溢れた巨大な音楽で、途中で重々しい金管が落雷のように降り注ぐ。若さで振り飛ばすような箇所はひとつもなく、惜別の念を刻印するようにしみじみと奏でられる。ここから3楽章のワルツ・アレグロ・モデラートに至るくだりは天国のような美しさだ。ニューヨーク・フィルはヨーロッパのオーケストラのような気品に溢れた演奏で、硬質なチャイコフスキーの美の世界を描き出していく。
あまり言われていないことだが、バーンスタインの人と音楽の本質にあるのは深い「宗教性」なのではないかと思う。現代的な内容とはいえミサ曲も書き、祈りと神性ということについて深く考察し、音楽の中に神の顕現をもたらした。晩年近くの演奏には、遅いテンポの中にどっしりとした神の存在を感じる。敬虔なユダヤ教徒の父親のもとで育ったバーンスタインだが、彼が信じていた神はとても普遍的で純粋なスピリチュアルな神であったはずなのだ。
チャイコフスキーが活躍した帝都サンクトペテルブルクもスピリチュアルな都市だった。歴史的な寺院や教会が多くあり、そのふんだんな装飾美には訪れるたびに圧倒される。街全体が美術館のようで、海を挟んでフィンランドと向かい合う港町であるため、雲の動きがとても速く、にわか雨が頻繁に降る。チャイコフスキーの過敏な音楽性は、サンクトペテルブルクの天気と全く同じなのだ。
バーンスタインはとても涙もろい人でもあり、映像で見るとよく指揮の最中に泣いているし、広島の原爆記念館を訪れたときのドキュメンタリーでも涙を流していた。指揮者としての最終結論のような凛とした古典美が溢れるこのチャイコフスキーでも、バーンスタインは涙を堪えきれなかったのではないか。フィナーレ楽章は何かを振り切ったように英雄的で誇り高いが、強さの裏にチャイコフスキーの孤独や心の脆さも秘められている。人間を愛したバーンスタインの聖なるシンパシーが、脈拍のように波打っている。

※試聴できる期間はメール配信日から30日以内です。
あらかじめご了承ください。

公益財団法人パシフィック・ミュージック・フェスティバル組織委員会