4月8日から始まったPMFフレンズ（賛助会員）のチケット販売が好調な滑り出しを見せています。「マイシートS」は即日完売し、「Tシャツを着てピクニックコンサート」も残りわずか。PMF GALAコンサートやPMFオーケストラ演奏会など、早くも残席が少なくなっている公演があります。最新の情報は公式ウェブサイトでご確認ください。
アニバーサリー・シーズンとなる特別プログラムとともに、多くの人の期待は華やかなソリストたちに向けられていることでしょう。この夏、PMFの舞台に登場するソリストをご紹介します！

今年3月、東京・渋谷のBunkamuraオーチャードホールで、パーヴォ・ヤルヴィが「ウエストサイド・ストーリー」を〈演奏会形式〉〜シンフォニー・コンサート版〜で披露した（主催者表記）。オーケストラはNHK交響楽団。ステージを自在に泳ぐ米日の歌い手が顔を揃え、東京オペラシンガーズと新国立劇場合唱団の面々も参加するという華やかなステージだった。
ちなみにN響は1月の定期公演Cプログラムでも広上淳一が政治的序曲「スラヴァ」と「セレナード」に腕を揮い、レニーことレナード・バーンスタインの生誕100年に想いを寄せている。「セレナード」のソロは、PMFのステージからドラマが始まった五嶋龍だった。
パーヴォは1980年代の前半、ロサンゼルス・フィルハーモニック・インスティテュート（講習会）でレニーから教えを受け、広上淳一はアムステルダムのロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団のツアーでアシスタントを務めた。パーヴォと広上はNHK Eテレの「クラシック音楽館」でもレニーについて語り、指揮やレッスンの物真似も披露している。本物以上との声も上がった二人のジェスチャーをご覧になった方も多いことだろう。
パフォーミングアーツの現場で、夏の音楽フェスティバルで、オーケストラのツアーやリハーサルで──これはという若手に声をかけ、交歓する。それがレニーの流儀だった。「教育」の拠点は、ロサンゼルス・フィルハーモニック・インスティテュートと有名なタングルウッド音楽祭だった。マイケル・ティルソン・トーマス、マリン・オールソップも羽ばたく。
1982年、レニーはそのロサンゼルスで、シンフォニック・ジャズの最高傑作と自作に、あらためて想いを寄せる。ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」は、モーツァルトのピアノ協奏曲第17番ト長調K.453、第25番ハ長調K.503、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番、ラヴェルのピアノ協奏曲と並ぶ、レニーの十八番だった。慣習的なカットがあるとはいえ、濃い語り口と鮮やかな音彩をあわせ持つ、あの「ラプソディ・イン・ブルー」は、レニーとロサンゼルス・フィルの幸せな出逢いを映し出す録音だ。オーケストラの機能美も功を奏した「シンフォニック・ダンス」に、野暮な褒め言葉は不要だろう。レニーはロサンゼルス・フィルで盟友のコープランド、それにバーバーの調べも奏でた。
今、グスターボ・ドゥダメルが音楽監督を務めるロサンゼルス・フィルも、レニーのオーケストラだったのだ。

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